Quantcast
Channel: 辛抱しんちゃんのブログ13~俺は本物を掴む迄兎に角やるんだ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 304

$
0
0

THE MAKING (189)ふ菓子ができるまで
 ・・・小麦粉に食塩水を加えてよく練って生地を作り、粘りが出た所で生地を布製の袋に入れて水中で揉む。
 デンプンが流出した後に残ったグルテンを蒸して生麩(もち麩)が作られる(流出した澱粉を乾燥させた物が浮き粉である)。
 スーパーの店頭に並ぶ夥(おびただ)しい=非常に多い加工食品の成分表示には「澱粉」「でん粉」「でんぷん」「デンプン」「スターチ」と色々な述語が見られる。
 澱粉は他の漢字と同様に中国からの伝来語の様に思われがちであるが、実は今から150年前にオランダ語からの訳語として出来た事が実証されている。
 即ち、幕末の医者、洋学者として有名な宇田川榕菴のオランダ語の有機化学の訳本である『舎密開宗』(1837年)中に「澱粉」の文字が見出されている。
 これは英語のSet Mealに相当するオランダ語Zink-Poederを「沈殿し易い粉」即ち「澱粉」と訳した訳である。

 澱粉starch)とは、分子式C6H10O5n炭水化物多糖類)で、多数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子である。
 構成単位であるグルコース(分子式 C6H12O6を持つ単純なである。ブドウ糖とも呼ばれる)とは異なる性質を示す。
 陸上植物におけるグルコース貯蔵の一形態であり、種子球根宿根草の内、根、茎、葉の一部に養分が溜まって膨らんだ貯蔵器官)等に多く含まれている。
 宿根草(しゅっこんそう)は多年生草本の内、生育に適さない時期(多くの場合であるが、の事もある)には地上部が枯れてしまうが、それを過ぎると発芽して再び生育を始めるもの。
 園芸では、常緑多年草も纏めて宿根草と呼ぶので、多年草は「球根植物」と「宿根草」に分類される事になる。
 キクキキョウシャクヤクハナショウブ等、花苗として販売されているものの殆どがこの範疇に入る。
 フキウドアスパラガス等、宿根性の野菜(蔬菜:栽培作物)もある。※
 高等植物細胞において認められる澱粉の結晶(澱粉粒)やそれを取り出して集めた物も、一般に澱粉と呼ばれる。
 澱粉粒の形状や性質(特に糊化特性)は起源となった植物の種類に寄りかなり異なる。
 トウモロコシを原料として取り出した物を特にコーンスターチと呼ぶ。
 グルテン或いは麩質(ふしつ)は、小麦ライ麦等の穀物胚乳種子植物種子を構成する組織の1つ。受精卵が発育した幼植物である自体とは別の組織であり、発芽に際して胚の成長に必要な養分を供給する働きを持つ。胚乳には種子植物の雌性配偶体である胚嚢に起源を持つ内乳と、胚嚢を生じる胚珠種子植物種子になる部分である。卵細胞を内蔵し、受粉の時は花粉から花粉管が胚珠の内部へと伸び、花粉内部の精細胞が胚珠内部の卵細胞と受精する>の珠心組織等親である胞子体組織に起源する周乳がある。又、内乳は裸子植物被子植物では胚嚢内の異なる部位が発達して胚乳を形成する)から生成されるタンパク質の一種でグルテニングリアジンが水を吸収して網目状に繋がった物。
 麺類パン等、小麦加工品を作る上で弾性や柔軟性を決定し、膨張を助ける重要な要素となっている。
 又、グルテンは食物アレルギーの原因となる蛋白質でもある。
 日本では小麦の使用は食品表示義務があるが、グルテンの有無には法的表示義務は無い。

 生麩を油で揚げると揚げ麩になる。

 生麩を煮てから成形して乾燥させると乾燥麩になる。
 上記の様にして作られたグルテンに、小麦粉、膨張剤であるベーキングパウダー、餅米粉等を加えて練り合わせ、焙り焼きした物が焼き麩である。
 因みに重曹(ベーキングソーダ)との違いは、重曹は純粋な炭酸水素ナトリウム(ガス発生剤)であるのに対し、ベーキングパウダーは重曹に加えて助剤(酸性剤)や分散剤(遮断剤)も含む点にある。
 両者は対象によって使い分けられる。
 他に酸性の材料(ヨーグルト、チョコレート、バターミルク、蜂蜜等)が十分含まれる場合や、焼く時間が比較的短い(重曹が酸と反応する時間が短い)場合は重曹が使われる。
 酸性の材料が少なかったり焼く時間が十分長い場合等は、ベーキングパウダーが用いられる。

 生麩には、ゴマヨモギ紅花等の素材を加えて、風味や色をつけた物もある。

 又、流出した澱粉を集めて乾燥させた物を正麩(しょうふ、漿麩)・浮き粉・じん粉と呼んで、玉子焼(明石焼き)や関東のくず餅、糊や菓子の原料にされる。


 「麩」とは小麦粉の蛋白質グルテンの事です。
 日本には中国から仏教の僧侶達によって伝えられました。
 中国では「麩筋(めんきん)」と呼ばれ、唐の末から元の時代にかけて記録があるそうですが、日本の記録は1352年(正平七年)「嘉元記」に出て来る最も古い「麩」の言葉です。
 語源は小麦の中で蛋白質含有量の多い殻粒の果皮を「麩(ふすま)」と呼んでいた処から出ています。
 当初はグルテンそのままを「生麩(きぶ)」として食べていましたが、千切れ易く調理がとても難しかった様です。
 江戸中期、加賀前田家の料理人舟木伝内が発見した麦の粉を入れる方法が煮崩れしない、現在の「生麩(なまふ)」の基になって一般に出回る様になりました。
 現在はグルテンに餅米を混ぜ、蒸した物を「生麩(なまふ)」と言い、グルテンに小麦を混ぜ、焼いた物を「焼き麩」と言います。

 「麩」の字義は凡(およ)そ二つに大別されます。
 即ち
「麩(ふすま)=麬」
と「麩(ふ)」
 の二種で、『大辞林』では
 A. ふすま=小麦を粉にひいた後に残る皮
 飼料や洗い粉に用いる。
 からこ、もみじ、むぎかす。
 B. ふ=小麦粉の蛋白質(グルテン)を練り固めた食品。
 生麩(なまふ)と焼き麩がある。
 と定義されています。
 ※『大辞林』(だいじりん)は三省堂日本出版社である。辞典事典六法教科書等の出版で知られる。国語辞典は国内最大数の販売量)が発行する中型国語辞典
 中型国語辞典としては、岩波書店の『広辞苑』と並ぶ双璧。
 2006年に11年ぶりの改訂を行い、Web上でも使えるデュアル・ディクショナリーとして発表され、新たな動きがみられる。
 書籍版は23万8000語、Web版は約26万5千語。
 歴史的記述優先方式を採る『広辞苑』との比較では、現代語義を優先して順に解説する点に特徴がある。※

 漢土即ち中国では古来、隋・唐代(581~907)頃から、小麦蛋白(グルテン=麩素)は「麪筋」と呼ばれて食膳に供され、小麦粉常食圏であった黄河流域では早くから普及していた模様です。
 「麪筋」とは、麪(麺=小麦粉)の筋、謂わば筋肉の要素を意味する語と思われますが、北宋(960~1127)中期の官人学者、沈括(1030~94)が著した随筆集『夢渓筆談』には「凡鐵之有鋼者。如麺中有筋。濯盡柔麺。則麺筋乃見。錬鋼亦然。」つまり「鐡(鉄)に鋼がある様に、麺(小麦粉)にも筋(麺筋)がある-大意-」と言う記述が見られます。
 隋・唐代から当時にかけて流布していた、大乗佛教の教義に基づく肉食忌避の食習慣に寄る、「素食」即ち精進料理の流行もその普及に貢献したものと考えられますが、ともあれ食材として定着した麪筋は、後世に到る迄漢土各地で食され続け、清代(1644~1912)中期の風流人士、袁枚(1716~97)が著した料理指南書『随園食單』にはその料理法の数種が紹介されています。

 「麩(ふ)」の名称の日本における文献上の初見は、中世法隆寺の日記文書『斑鳩嘉元記』に残る正平七(1352)年壬辰五月十日条、「三肴立毛、タカンナ(篁=筍)・ウトム(饂飩)・フ(麩)・サウメン(素麵)・一折敷・数六・粽・ムキ(麦)粽一杯・アメ(飴)一杯・ワリコ(破り籠)・ヒワ(枇杷)一フサ・白瓜少々・ハイ(盃)少々。」と言う記述で、通説では南北朝時代(1336~92)頃から食膳に供され始めたとされ、一説には南宋滅亡(1279)前後の混乱を避けて来朝した禅僧等が、麪筋の製法や料理法を伝えたとも言われます。

 この状況は江戸時代に入っても特に変化せず、元禄十(1697)年刊行の人見必大(1642~1701)の編著になる食物事典『本朝食鑑』に到り、漸く「麪筋:俗稱不:用麩(1.A)和水-中略-作麪筋故俗稱麩」という明確な言及が見られます。
 続く正徳三(1713)年刊行の、寺嶋良安(1656~1730)編著による百科事典『倭漢三才圖會』にも「麪筋俗云不」とあり、続いて「俗用麩字非也。麩小麥屑皮也」つまり「俗に麩の字を用いるのは誤りで、麩とは小麦の屑(かす/くず)皮である」と説かれ、続いて「按麪筋今多造之“麥+屑”‐麩(1.A)和水-後略-」と記される様に、麪筋(グルテン)成分の含有率が高い麩(1.A)を原材料とする麪筋抽出法が、麪(麺=小麦粉)から麪筋を抽出する方法(「一種有用麪‐粉而造-後略-」『本朝食鑑』)と並行して普及していた状況から発生した、認識の食い違いが記述に反映しており、従って「麪筋(ふ)」とその俗称/宛字であった「麩(ふ)」が類義語として周知されて定着する時期は、早くとも正徳年間(1711~16)を遡れない事が判明します。

 続く享保年間(1716~1736)、麩の歴史上に大きな転機が訪れます。
 漢土も含めて従来は、麪筋の調理法としては、その塊りを炙って味噌田楽仕立てに、或いは油で揚げて酒漿(煮切酒)乾鰹汁(いろり=鰹出汁)等で煮浸すと言う方法が主流でしたが、これ等は塩分に弱くしかも加熱すると分解してしまう麪筋の弱点に適った物でした。
 所が享保頃から加賀と京都で、麪筋に〈つなぎ〉として米粉や小麦粉等の穀粉類を加えて練り合わせ、加熱して仕上げる「合せ麩」或いは「思案麩」と称する製法が相次いで案出され、急速に一般化して行きます(『槐記(京都)』『御膳所日記(京都)』、『ちから草(加賀)』、『料理の栞(加賀)』等々)。
 これは前述の弱点を克服し、煮物や吸物等の多彩な料理に容易に使用出来る様改良した日本独自の画期的な発明であり、その製法の原理は現在の生麩と焼麩に受け継がれています。

 麩(麸、ふ)は、グルテンを主原料の1つとした加工食品。
 グルテンは、で練った小麦粉に含まれるタンパク質の一つである。

 室町時代初期に明から渡来した禅僧によって製法が伝来したとされ、蛋白質が不足しがちな当時の精進料理を豆腐と共に蛋白源の一翼を担う食材である。
 原料を茹でて製品にした生麩(なまふ)、原料を焼成した焼き麩(やきふ)、中華料理等で使われる原料を油脂で揚げた揚げ麩(あげふ)、原料を煮た後に乾燥させた乾燥麩があり、それぞれ食感が異なる。
 煮物汁物和え物や、すき焼き等の鍋物の具、沖縄料理炒め物の材料としても多く用いられている。
 秋田などの東北地方の一部や北海道の一部ではラーメンの具として用いられている。
 又、近年では滋賀県の一部でもラーメンの具として用いられている。
 京都においては精進料理の材料の一つとして重用される他、京料理としても利用される。
 生麩や焼き麩は、料理以外に、菓子として用いられる事があり、前者は小豆を包んで麩饅頭、後者は生地に着色して砂糖を練り込み、麩菓子等の駄菓子とする。黒糖花林糖の様な風味を持たせた麩かりんとうもある。
 人間の食用以外には、焼き麩を粉状にした物がコイヘラブナ釣りエサに用いられる。

 ・・・金沢おでんに用いられる車麩は、おでんのダシを吸って美味しいよ!

Viewing all articles
Browse latest Browse all 304

Trending Articles