日本と諸外国との間で締結された二国間経済連携協定(EPA)により、2008年以降、看護師の他、介護福祉士(候補者)が来日し、日本国内で活動する様になった。
経済連携協定(Economic Partnership Agreement;EPA)とは、自由貿易協定(FTA)の柱である関税撤廃や非関税障壁の引き下げ等の通商上の障壁の除去だけで無く、締約国間での経済取引の円滑化、経済制度の調和、及び、サービス・投資・電子商取引等の様々な経済領域での連携強化・協力の促進等をも含めた条約である。

自由貿易協定(FTA)
特定の国や地域の間で,物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃する事を目的とする協定。
経済連携協定(EPA)
貿易の自由化に加え,投資,人の移動,知的財産の保護や競争政策におけるルール作り,様々な分野での協力の要素等を含む,幅広い経済関係の強化を目的とする協定。
日本ではEPAを軸に推進しており、GATT(関税および貿易に関する一般協定)及びGATS(サービスの貿易に関する一般協定)に基づくFTAによって自由化される物品やサービス貿易といった分野に加え、締結国と幅広い分野で連携し、締約国・地域との関係緊密化を目指すとしている。
近年世界で締結されているFTAの中には、日本のEPA同様、関税撤廃・削減やサービス貿易の自由化に留まらない、様々な新しい分野を含むものも見受けられる様になっている為、EPAを慣習上FTAと報道する海外メディアも少なく無い。
2016年時点で日本政府が外国又は特定地域と締結した協定は全てEPA(経済連携協定)となっている。
又同年2月にはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に署名している。
外務省によると、日本はFTAだけで無くEPAの締結を軸に求めている。
理由として、関税撤廃だけで無く、投資やサービス面でも、幅広い効果が生まれる事を期待している事による。
2014年には、2,000人を超える規模となり、EPAの制度枠外の労働者も存在する様になりつつある。
然しその一方で、外国人労働者の管理については各介護事業者の裁量に委ねられている為、外国人労働者を安い給料で酷使する介護事業者も多く、訴訟が起こされるケースも出ている。
出入国管理及び難民認定法(入国管理法)改正(2017年10月1日施行)により在留資格に「介護」が追加される。
日本の介護福祉士養成施設(養成校)を卒業し、介護福祉士を取得した者は、介護業務若しくは介護指導を職務にする場合は、在留資格「介護」による在留資格申請が可能となり、日本の介護施設等で就職する事が可能となる。
技能実習制度改正(2017年11月1日施行)と同日、実習職種に「介護職種」が追加された。
技能実習生は、技能実習制度の技能転換を目的にした制度であるが、来日する技能実習生は、在留生活においては監理団体が管理し、実習施設では、労働基準法に基づく雇用関係を締結し、日本人労働者と同等に扱い保護される労働者となる。
労働者として労働災害時には労災対象となる。
技能実習生は労働を通じたOJTとOFF-JTにより技能を習得する。
EPAによる介護福祉士候補者の不合格者は、帰国が1年程度の期間をあけ、再度、技能実習生として来日する事が検討されている。
更に、技能実習生は、技能実習期間中に「介護福祉士」の国家試験に合格し介護福祉士登録者証を受けた者は一度帰国をした後在留資格「介護」に在留資格を切り替える事が可能となる事も検討されている。
だが、少子高齢化や核家族化の進行、医療の進歩に伴い寿命が延びた事により、介護が「看取り三月」ではなくなった事等に伴い、介護を行う家族(配偶者や子)の側も又、高齢者であると言う「老老介護」の問題も浮かび上がっており、家族にとってはより重い負担となっている(著名な例では、1999年に当時の高槻市の市長・江村利雄が、妻の介護と公職の両立が出来ない事を理由に市長を辞任して議論となった)。

老老介護の苦労や負担に耐え切れず、介護する子が親を殺害する(屡々<しばしば>『介護疲れ殺人』等と報じられる)等の犯罪にも繋がっている。
現在では要介護者を抱えた家庭の苦労や、介護される側の気苦労等が広く知られる様になり、社会全体で面倒を見ても良いと言う価値観が生まれつつある。
これは社会と文化の多様化及び複雑化に伴うものだと考えられる。
介護観の複雑多様化は、ある意味必然的なものなのかも知れないが、その多様性に対応出来る社会体制が必ずしも整っているとは限らない・・・
介護とは、障害者の生活支援をする事。
或いは高齢者・病人等を介抱し世話をする事。
「介護」と言う言葉が主体的に使われる様になったのは、1970年代後半からの障害者による公的介護保障の要求運動からである。
それ以前の「『障害者の面倒を見るのは親がやって当り前』と言う社会の考え方からでは障害者は施設に追いやられる」と言う危機感からその様な運動が発生した。
公的介護保障の要求を受けて、介護人派遣事業が制度化され始めたのは1980年代半ばからであるが、障害者にとって保障と呼ぶには程遠いものであった。
地方自治体による高齢者の訪問介護・看護事業は1960年代より始まったが、理念的には家族介護への支えであって、その考え方は現在でも受け継がれている。
医療にクオリティ・オブ・ライフ(Quality of life・QOL)の考えが普及すると、介護にも導入され、介護によって病人、高齢者のQOLを高め、QOLの更なる向上に貢献する事も又介護の目的とされている。
介護保険法や支援費支給制度により障害者が在宅介護や施設介護のサービスを、又、介護を行う介護福祉士や訪問介護員等の介護職や、介護サービスの利用の調整を図る介護支援専門員は、名称独占資格の専門職であるが仕事の肉体的・精神的負荷が大きく、仕事の難易度の高さや負荷の大きさや低賃金の為、恒常的な労働力不足の状況である。
看護界の一部には、介護は看護の中に含まれるとして、「看護」と言う言葉で充分代用出来ると言う声もある。
出来る限り質の高い生活が出来る事を目的とした支援的活動である。
職業人である看護師の行う実践を指す場合が多いが
患者の家族等が病気や障害等を理由に生活上の困難を抱えている患者等に対して
日常生活における世話や情緒的に支える事等を含む事もある。
看護を職業として実践しているのは看護師であり
又は診療の補助等をする事を業とする人の事である。
通例は医師・歯科医師以外の看護師を含む医療従事者の総称として用いられ
具体的には下記の職種を指し示す。
然し概念的定義として捉えられる事が多く
発言者や文脈によっては職種を限定する場合もある。
現代は、医療の高度化・複雑化に伴い
以前は医師のみが行っていた業務の細分化・分業化が進んでいる。
従って、当該コ・メディカルには、高度な専門性の追究と日々の自己研鑽を重ね
有機的に連携しチーム医療を実現する事が求められる)に分類される。
看護師を育成する教育は看護教育である。
看護を学問的に支えるのが看護学であり、他の成熟した学問分野と同様
文化的な背景を踏まえ、人のより良い生に関わって行く為の知識や技術
様々な理論を発展させて来た。
こうした看護理論やその他の知見は実際の看護の根拠や基盤となって
その発展に寄与している。
看護は他の医療職種の活動に比べて、対象者の個別の疾患や機能と
その回復に関心を持つだけで無く、人の生き死にや生き様
関心をもって行われる点に特徴がある。
看護師が行う看護とは、看護学及び医学等の近接した
学問領域の専門的知識や技術も活用しながら対象者の状態を
把握・事前評価し、問題点や介入のポイントを診断し
対象者の個別性に合わせた介入方法を看護計画として立案し
実際のその計画を実施し、その実施内容を評価しながら
計画を改善を行うといった一連の看護過程を展開させながら
その時の対象者にとって最も健康的で質の高い生活を送れる様に
援助する事を指す。
病院で入院患者に対して提供される看護は
24時間継続して提供出来る様、複数の看護師が交代で行う事が一般的である。
その他病院や診療所の外来部門、各種健康診断
福祉サービス等、広範な場面で看護は提供されている。
実際、三大介護とも言われる
食事介助!
入浴介助!!
排泄介助!!!
は看護の中でも扱われる。
日本の法律では、「介護」を看護と区別する様な専門性、特定の業務内容とその位置づけについての記述は無い。
但し、「介護」と言う言葉が流布する様になって、介護福祉士、訪問介護員(ホームヘルパー)のワークの内容を言うのに、従来の「介助」よりも、適切であるとして、介助と言う身体的な行動援助より些か広い範囲で使えると言う事で、重宝なものとして用法が広まって来ている。
介助とは、病人、障害者、高齢者等、日常生活行動(ADL, Activities of Daily Living)、若しくは動作(リハビリテーションでは、日常生活動作と言う)、例えば入浴、食事、排泄、移動、衣服の着脱等といった最も基本的なものについて、自分で行える度合いの低いものについて援助する事を言う。
その際必要な援助の度合いにより、自立、一部介助、全介助の3段階で評価し、総合点が高い程自立度が高いと判定される。
この他、ADLよりやや高度な能力を測定するものにIADL(Instrumental Activities of Daily Living)がある。
「手段的日常生活動作能力」と訳され、電話、遠方への外出、買い物、食事の支度、家事、服薬、金銭の管理等の項目を測定し、自立した社会生活を送る上で必要な能力を持っているかどうかを判定する。
こち等は、知的障害、情緒障害から、感情障害等発達上の障害がある人については、特に配慮が大切である。
最近では、一部に「介護=体に直接触れる支援」と言うイメージを持たれる事が多い為に、必要な支援は、体に触れる支援だけでは無い、と言う考え方が出来つつあり、「介護」では無く「介助(体に直接触れない支援=見守り、必要な時に支援する、声をかける事によって出来る支援を含む)」と言うニュアンスを含めて使用する事もある。
又、「介護」と言う言葉は、看護師や看護界が作り出した言葉では無く、日本で介護福祉士が国家資格化され、観察・分析・ニーズ発見といったQOLを高める為といった看護とは異なる介護方法の専門性が研究されている。
尚、「介護」と言う単語は、介護用品メーカーであるフットマーク株式会社(東京都墨田区)の代表取締役・磯部成文(いそべしげふみ)により「世話をする側とされる側のお互いの気持ちの交流を考えて『介助』と『看護』を組み合わせて作った造語」と言う説もあるが、上記の通り1892年には法令に出ている熟語である。
(ドイツ語本来の発音は「ルックザック」、オランダ語では「リュッフザック」で、「背中袋」の意味である。英英語にも「ラックサック」と言う語があるが、米英語では一般的に通じ難い。米英語の「バックパック」や日本語の「背嚢」は、何れもドイツ語のなぞりである。日本語が「ルック」で無く「リュック」であるのは標準ドイツ語で背中を意味する「リュッケン」に影響されたものである。日本語で単にザックと呼ぶ事もあるが、ドイツ語の「ザック」は単に「袋」と言う意味であり、文脈上明らかな場合を除き、リュックサックの意味では使わない。バックパックと言う訳語は米国で生まれ、1910年代に北米に広がった。それ以前は「ナップサック」、「サックパック」と呼ばれていた。単に「パック」とも言う。日本では「ナップサック」は、肩紐が口を絞る兼用になっている小型の袋状の物を言う事が多いが、英語ではこの様な意味合いは無い。又、日本語の「バックパック」はバックパッカーや、それ用の巨大なリュックサックを意味する事が多い)等を製造していた。
「おむつと形が似ている」「試しに頭に被ってみると丁度良いフィット感であった」と言う理由で、おむつの縫製技術や耐水技術を転用出来る水泳帽の開発に着手。
水泳帽を色別に分けたり、各色のマジックテープを貼る事によって各人を泳力別に分ける事が出来る点が教師からの支持を集めた。
日本国内の水泳帽のシェアでは約5割を持つトップメーカーであり、学校用水着(スクール水着)でも最大手となっている。
ビート板もフットマークが開発した物であると報じられている。
2012年(平成24年)からは今迄手薄であった競泳用水着の販売も強化しており、イタリアの水着メーカーJakedの製品のライセンス生産を行なっている他、金藤理絵等がJakedエリートチームに所属している。
「フットマーク」の社名は、社長(当時)の磯部成文の「足形が好き」と言う理由によって1982年(昭和57年)に旧社名から変更されたものである。
1970年代の業態転換時には、赤ちゃんのおむつカバーを改造して介護用おむつを開発した事をきっかけとして介護分野への進出も行なっている。
発売当時は「医療用おむつ」「病人用おむつ」等の商品名で販売していたが、ネーミングに暖かみや労りを表現させる為、1980年(昭和55年)に社長(当時)の磯部成文によって「介助」「看護」から1文字ずつ取った介護という単語を「考案」。
社会福祉学上では、福祉サービス利用者に対して援助の為に提供される技術と言う意味で 社会福祉援助技術における直接援助技術 に組み込まれるとする意見もあり、その観点から介護の分類や専門性を語る際には、同技術における「ケースワーク(個別援助技術)」や「グループワーク(集団援助技術)」に対応する呼称として、ケアワーク(介護技術)の呼称が使われる。
然し、これ等を比較した場合、介護は前2者と比べてその成り立ちや技術の有り方が大きく異なる(前2者は基本的に「人間関係」を対象とした技術。ケアワークは基本的に「生活上の挙動の不全」を対象とした技術)上に、現実として「社会福祉士と介護福祉士」と言う別個の資格が確立されている為、「介護技術は何者にも因らない独自の体系を持つ(社会福祉援助技術外の)技術である」とする見方もある。
社会福祉士(Certified Social Worker)とは、福祉系では、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士と並ぶ、名称独占資格の国家資格である(場合によっては、名称に福祉士が入る三資格を、福祉系三大国家資格(通称:三福祉士)と呼ぶ事もある)。
介護福祉士(Certified Care Worker)は、社会福祉士及び介護福祉士法を根拠とする国家資格。
和製英語で、ケアワーカー(CW)と呼称されている。
介護福祉士は、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害がある事により日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの<厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」と言う>を含む)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行う事を業とする(法第2条2項)。
具体的に可能な医行為は以下がある(施行規則1条)。
- 気管カニューレ
https://j-depo.com/news/speech-cannula.html内部の喀痰吸引
- 胃ろう(腹壁を切開して胃内に管を通し、食物や水分や医薬品を流入させ投与する為の処置である。最近では人工的水分栄養補給法と呼称される)又は腸ろうによる経管栄養
政令により上記1-2の実施については、咽頭の手前迄を限度とする。
3の実施については、胃ろう・腸ろうの状態に問題が無い事の確認を、5の実施の際には、栄養チューブが正確に胃の中に挿入されている事の確認を医師又は看護職員(保健師、助産師、看護師及び准看護師)が行うとされている。
但し、社会福祉士も介護福祉士も、担当事例においては「ケースワーク」「グループワーク」「ケアワーク」と言う3つの技術が必要とされる(チームケア事例におけるケアワーク担当者の不在による代替行為ないしはその逆となる事例、若しくは介護担当者とカウンセリング担当者の相互理解が必要となる事例等)為、それ等を習得する必要がある。
又、社会福祉学部を擁する大学の殆どは実際にこれ等3つの技術を社会福祉学の分野としてそれぞれ対等となる独自の単位を設定して学ばせており、更には介護福祉士・社会福祉士の両資格試験では、この3技術に関する試験科目がやはりそれぞれ試験内における対等の分野として存在している。